私は去年の8月まで大阪市Y区にあるマンションに住んでいたのですが、そこでとても恐ろしい体験をしました。
 そのマンションの前には、やや大きい児童公園がありました。その公園を横切ると地下鉄の駅まで近道だったので、私はいつも公園内を抜け道のように使ってました。ほぼ毎日、2年間その公園を通り抜けしてましたが、怖い体験など一度もありませんでした。
 それが、お盆休みが始まっても実家に帰らず、大阪のマンションでだらだら過ごしていた8月中頃なのですが、連日梅田の歓楽街に出かけては、飲み歩いてました。
 そんな時、とある店の女の子が、「へー、○○さんってY区に住んでるんや、それならA児童公園って知ってる?」って言ってきたので、「その公園ならうちのマンションの目の前だけど、その公園がどうしたん?」と私は聞き返した。
「えー、知らんの? ちょっと前にニュースになってたやん。マスコミが押しかけて近所迷惑やって問題になってたやん」
 私には全く心当たりがなかった。A児童公園は自宅のまさに目の前にあるのに、そんな騒動があったなんて露知らずだった。
「女の人の首無し全裸死体が見つかったって大ニュースやったやん」
「あっ。それに似たニュース知ってる」
  私は首なし全裸死体が、Y区の公園で見つかったニュースを知ってました。だけど、噂で聞いたことで20年ぐらい前の事件だったはずです。まさか、またそん な事件が起こったのかと驚愕すると同時に腑に落ちない気持ちになりました。何故なら、ほぼ毎日あの公園を通っているのに、マスコミどころか警察すら見たこ とがなかったからです。店の女の子も詳しくは知らないみたいで話はうやむやで終わりました。
 その日は終電過ぎまで飲んでいたので、帰りはタクシーでした。マンションの前でタクシーを降りたところで、飲み屋の女の子が話していた事件を思い出し、ちょっと公園を見てみようと言う気になりました。
 深夜の公園は静まりかえってます。入り口には小さな門があり、「A児童公園」と書かれてます。私は何気なくその門を見つめているとあることに気付きました。それはA児童公園と書かれた上に薄っすらと、「第2」という文字が見えたのです。
「第2? ……第2A児童公園か」
 私は思いました。「ここが第2A児童公園ってことは、どこかに第1A児童公園がある。きっと、あの事件は第1A児童公園で起こったことなのだ…… そうに違いない」
 すぐに部屋に戻り地図を確認しましたが、第1A児童公園なるものは発見出きませんでした。PCの電源を入れインターネットで調べてみても結果は同じでした。私はお酒をかなり飲んでいて酔いも覚めていなかったので、それ以上調べるのが面倒くさくなり眠ることにしました。
 眠り始めてから数時間が経った頃、不意に目が覚めました。部屋の中はまだ薄暗く夜明け前でした。喉がカラカラだったので、冷蔵庫に飲み物を取りに行こうとしたら首から下が動きません。
 酔っ払って寝てしまうと金縛りになりやすいらしいですが、私は1度もなったことがありません。
 私はもがきましたが、頭以外は全く動かないのです。そんな状態が5分程続いた後、何やら窓ガラスを、「コンコン」「コンコン」とノックするような音が聞こえてきました。何事かと思って顔を窓の方に向けましたが、カーテンが引いてあるので外が見えません。
 その音はしばらく続きましたが、徐々に聞こえなくなりました。私はほっとして金縛り状態のまま目をつぶり寝てしまおう思いました。
  しかし、今度はガラスを爪で引っ掻いている様な音が聞こえてきたのです。恐怖のあまり鼓動は早くなり、頭がおかしくなりそうでした。全身汗びっしょりでも がいていると不意にインターフォンが「ピンポーン。ピンポーン」と鳴ったのです。絶対にこんな時間に客が来るわけがありません。「ピンポーン。ピンポー ン」また鳴りました。すると次の瞬間に金縛りが解けたのです。そして、もう1度インターフォンが鳴りました。
 私は恐ろしくインターフォンに出る気が起こりませんでした。しかし、窓の外は気になります。恐る恐るカーテンを開けてみると、ガラスにドス黒い血のようなものが滴ってました。すぐにカーテンを閉めて、部屋の明かりという明かりを点け夜が明けるのを待ちました。
 その後に聞いた話では、A児童公園は第1と第2があり、首無し事件の後に第1が荒廃したので民間に払い下げにり、そこに立ったが私が住んでいたマンションだったのです。
 私の恐怖体験との関連性は分かりませんが、あの時窓を引っ掻いていたのは、首無しの女だったかもしれません。