これは、私がまだ小学生の頃の話です。


休日の昼間のこと。私の家に、友人が突然やってきました。その子は同級生のMちゃん。いつも遊んでいた覚えがあります。

『うちで遊ぼうよ』
Mちゃんがそういうので、一緒にMちゃんの家に向かいました。変わった様子もなく、違和感も特に感じませんでした。

Mちゃんの家に着き、鍵を開けて家の中に入ると、誰もいません。どうやらMちゃんのお母さんは出かけているようでした。とりあえず座って、Mちゃんの飼っているハムスターを観察していると
『ねぇ、おやつ食べる?』
Mちゃんはお菓子をお皿に入れて出してくれました。
「ありがとう」
今思い返すと、それは全て一人で食べたような気がしてなりません。
それから少し経って、いや、私にとってはすぐの出来事でした。お話をしている途中で、Mちゃんの姿がみえなくなったのです。
「あれ?Mちゃん、どこ?」
部屋の中は静まり返っています。
私はMちゃんが驚かそうと隠れているのだと思い、家中を探しました。しかし、どこにも居ないのです。最初はかくれんぼみたいでワクワクしていた私でしたが、急に不安になって泣き出してしまいました。

その時です。玄関の鍵が開く音がしました。
ドタドタと玄関へ走ると、そこにはMちゃんと、Mちゃんのお母さんが立っていました。
『あなた、何!?』
Mちゃんのお母さんが言いました。
「Mちゃんと遊んでいたら、Mちゃんがどこかに行っちゃったんだよ」
私がそう泣きながら説明してもMちゃんのお母さんは信じてくれず、不法侵入だと怒っています。とうとう私の親まで呼び出され、事態はおおごとになりました。

その後は“どうやって入ったのか”と問われ、“勝手に家の物をあさって食べていた”点を怒られ、“嘘をついている”と責められましたが、私は
「Mちゃんと遊んでいたら、Mちゃんがいなくなった」
と、ひたすら繰り返すしかありませんでした。本当のことなのにどうして誰も信じてくれないのか、悔しくて仕方ありません。

私はMちゃんに聞きました。
「私たち、さっきまで一緒にいたよね?」
Mちゃんは気味の悪そうな顔で答えました。
『…何言ってるの?Mはママとずっとお買い物していたんだよ。そうだよね、ママ?』

私はMちゃんが何を言っているのか分かりませんでした。その日はたっぷり親にしかられ、この件は“小学生のやった小さな悪事”いうことで話がつきました。
親は未だに、“私が自分の悪事を正当化したいがためにMちゃんと遊んだと思い込もうとしている”と言います。もしそうなのだとしても、ここまで記憶が塗り替えられるものなのか。

それと気になっていることがあります。“Mちゃんの家の鍵はどうやって開けたのか?”“手が届かないはずの戸棚からどうやってお菓子を取ったのか”これらは説明がつきません。


私はMちゃんの生霊だったのではないかと思っていますが、自分が親の言った通りのサイコパスだったらと考えると、そっちの方が怖かったりします。