中学校の頃の話です。住んでいた家のすぐ近くに、長い間空き家になっていた一軒の家がありました。二階建ての木造の家で、ちょっとした狭い庭もあり、昼間に見ればなんという事も無いのですが、家の前が細い路地で、外灯も無く、手入れをするものもいないのか、庭の樹や草も伸び放題で、窓ガラスもほとんど割れていて、夜は絶対にそばにも行きたくない位不気味でした。
そんな場所ですから、当然の如く怖い噂も立ちます。家から物音が聞こえるとか、灯が見えるとか、もしかしたらホームレスがいたのかもしれませんが、ちょっとした心霊スポットになっていました。
そんな中で、学校の悪友達が、夏休みに肝試しとして、その家に忍び込もうという話になりました。
今でもその日のことはよく覚えています。夏のとても蒸し暑い夜でした。私は友人の家に遊びに行くといって家を出ました。集まったのは男ばかり全員で4人でした。
入 り口の門は閉まっていましたが、鍵はかかって無く、出来るだけ音をたてないように中に入りました。全員が手に懐中電灯を持っていました。それで照らしなが ら草ボウボウの庭をかき分け、家の玄関の前に立つと、何だかとても不気味な感じがして、マズイ所に来てしまったかなと思ったのですが、今さら後には引け ず、ガラスがない窓から家の中に入りました。
多分一時間以上は中にいたと思います。すでに先客が残したゴミや、スプレーで書かれた落書きなどを目にしながら、ワイワイ騒いで中を見て歩き、写真も何枚か撮りました。そしてこの時は何事も無く、家に帰りました。
そ して次の日、この日も4人で遊ぼうという話だったのですが、待ち合わせの時間になっても、一人だけ現れません。その頃はまだ携帯が今ほど普及しておらず、 連絡を取るのに家に電話すると、もう出た後という事でした。でも結局現れず、仕方ないので3人で遊び家に帰ると、母親から、来なかった友人が交通事故に あって入院したという連絡があったと知らされました。
次の日、3人で病院にお見舞いに行ったのですが、意識は無い状態で、横断歩道でトラックにはねられたという事です。命は助かったのですが、怪我がひどく、どうやら左腕は切断する事になるとの事で、聞いているこちらの方が辛い感じでした。

彼 が退院したのは2学期に入ってからだと思いましたが、退院するとすぐに引っ越してしまい、事故の後はほとんど話さないで終わってしまいました。ただ、引っ 越す前にもう一人の友人と会って話をした時に、あの空き家にはもう近付くなと、真剣に念を押され、理由を聞くと、肝試しの夜に、彼はイタズラ半分に、あの 空き家にあった人形をいじって、左腕をもいでしまったのだそうです。そして、その夜の夢で、物凄い形相の少女が夢に出て来て、人形に対しての恨みを言った 後、許さないと言って消えたそうです。そして彼は事故で左腕を失ったのですが、それからもその少女はたまに夢に出て来て、ずっと怒っているという話でし た。

彼が引っ越してからは、友人達の間でも、空き家の事や彼の話もタブーになり、その後私も引っ越したので、みんながどうしているかはわ かりません。ただ、先日たまたまその場所の近くに用事があって行ってみたのですが、空き家の場所にはアパートが建っていました。気になったのは、その一階 の部屋の窓に、外を見るように人形が一体置いてあった事です。